なぜ今、資産形成?初心者でもわかる始め方と3つの重要ポイント
目次
「将来のお金、大丈夫かな…」「何か始めたいけど、何から手をつければいいの?」
そんな漠然とした不安を抱えていませんか?「人生100年時代」と言われる現代、私たちのお金との付き合い方は大きな転換期を迎えています。かつての「退職後は年金と貯蓄で安心」というモデルが揺らぎ始め、自身の力で未来を切り開く「資産形成」の重要性が、かつてないほど高まっているのです。
この記事では、特に資産形成初心者の方に向けて、「なぜ今、資産形成を始めるべきなのか」その理由と、具体的な一歩を分かりやすく解説します。
要注意!あなたの知らない「お金」の価値の変化
私たちの資産を取り巻く経済環境は、気づかないうちにも変化しています。特に今の日本では、これまでの常識が通用しなくなりつつあるかもしれません。
1. 超低金利時代:預貯金だけではお金は増えない現実
かつて、銀行にお金を預けておけば、ある程度の利息が期待できる時代がありました。例えば1990年12月末の定期預金金利は年6.08%と、100万円を預ければ年間約6万円の利息が見込めたのです。
しかし、現在はどうでしょうか?2024年3月末時点の定期預金金利は年0.005%程度と、100万円を1年間預けても得られる利息はわずか50円(税引前)という状況です。これは、銀行預金が資産を「増やす」という役割をほとんど果たせなくなっていることを意味します。資産の安全な保管場所としては依然重要ですが、価値の成長は期待薄と言わざるを得ません。
2. 忍び寄るインフレ:気づかぬうちにお金の価値が減っている?
最近、食料品やガソリンなど、身の回りのモノの値段が上がったと感じませんか?これは「インフレ(インフレーション)」と呼ばれる現象で、物価が継続的に上昇することです。インフレが進むと、同じ金額で買えるモノやサービスが減ってしまうため、実質的にお金の価値が目減りしてしまいます。
日本でも2022年度以降、2%を超える物価上昇が続いており、例えば2025年4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比で3.5%上昇しています。もし銀行預金の金利が年0.005%で、物価が年3.5%上昇すると、実質的な資産価値は1年間で約3.495%も減少してしまう計算になります。これは、貯蓄が「増えない」どころか、実質的に「減っている」状態なのです。
表1: 預金と物価上昇のシミュレーション
条件 | 10年後の金額・購買力 |
---|---|
100万円を年利0.005%の定期預金に10年間預けた場合 | 元利合計 約100万500円 (計算式: 1,000,000 × (1 + 0.00005)10) |
現在100万円で購入できるモノ・サービスの価値が、年3.0%の物価上昇で10年後にどうなるか | 10年後には約74万4094円の価値に目減り (計算式: 1,000,000 ÷ (1 + 0.03)10) |
このシミュレーションが示すように、何もしなければ資産が実質的に目減りしていく厳しい現実があります。
3. 給料と年金だけじゃ不安?将来のお金のリアル
将来の収入源となる給料と公的年金の見通しも気になるところです。日本の賃金は長らく伸び悩んでいましたが、近年の物価上昇を背景に賃上げの動きも見られます。しかし、この賃金上昇が物価上昇に追いつくか、それを上回るまでには時間がかかる可能性も指摘されています。
また、公的年金制度は少子高齢化に対応するため、「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されており、将来的に実質的な給付水準が低下していく見込みです。公的年金は老後の生活の柱であり続けるとしても、それだけに頼るのではなく、個人が主体的に老後資金を準備する必要性が高まっているのです。
未来のために!資産形成を始めるべき3つの大きな理由
こうした経済環境の変化を踏まえ、なぜ今こそ資産形成を始めるべきなのか、その大きな理由を3つのポイントで解説します。
理由1:将来の「安心」と「夢」を手に入れるため
資産形成の最も基本的な目的は、将来への「安心感」を得て、自分が思い描く「夢」や「目標」を実現するための経済的基盤を築くことです。
人生には予期せぬ出来事が起こりえます。病気や失業などで収入が途絶えるリスクは誰にでもあります。そんな時、一定の資産があれば、精神的なゆとりを持って対処できます。また、資産は豊かな老後生活だけでなく、海外旅行、学び直し、起業といった現役時代の夢を後押しする力にもなります。
理由2:インフレに負けない!「お金の力」を育てよう
前述の通り、インフレは現金の価値を実質的に目減りさせます。このインフレに対抗し、お金の価値を守り育てる有効な手段が「投資」です。投資で得られる収益が物価上昇率を上回れば、資産の実質的な価値を維持、向上させることが期待できます。
ここで鍵となるのが「複利効果」。投資で得た収益を元本に再投資することで、その収益がさらに新たな収益を生み出す仕組みです。例えば、毎月10万円を積み立て、年利4%で20年間運用した場合、投資元本2,400万円に対し、複利効果によって最終的な積立金額は約3,650万円に達する試算もあります。
理由3:「貯蓄から投資へ」国の後押しを活用しない手はない!
日本政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、国民の資産形成を積極的に後押ししています。NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度の拡充はその代表例です。
日本の家計金融資産は現預金に偏っており、欧米と比較して投資の割合が低いのが現状です。例えば2023年3月末時点で、米国の家計金融資産における株式・債務証券・投資信託の合計が56.2%に対し、日本では現金・預金が54.2%です。国の後押しがある今こそ、この流れに乗り、将来に向けた資産形成を始める好機と言えるでしょう。
初心者でも大丈夫!「投資」への最初の一歩
「資産形成や投資って難しそう…」と感じるかもしれませんが、基本的な考え方と制度を理解すれば、決してハードルは高くありません。
1. 「投資」は難しくない!基本の考え方
投資の本質は「将来の成長や収益を期待して、現在の資金を投じること」です。大切なのは、金融商品の仕組みを理解し、リスクに対処する方法を考えること。まずは「資金の余裕」「時間の余裕」「心の余裕」という3つの余裕を持つことが大切です。生活費や使う予定のあるお金ではなく、当面使う予定のない余剰資金で、長期的な視点で冷静に取り組むことが成功の秘訣です。
2. 資産形成の王道:長期・積立・分散投資とは?
特に初心者の方にとって、リスクを抑えながら資産を育てるための基本戦略が「長期投資」「積立投資」「分散投資」です。
- 長期投資:短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期間にわたって金融商品を保有する方法です。
- 積立投資:毎月一定額など、決まったタイミングで同じ金融商品を継続的に購入する方法です。価格が高い時は少なく、安い時は多く買うことで平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。
- 分散投資:投資対象を一つに集中せず、値動きの異なる複数の資産(国内外の株式、債券など)や国・地域に分けて投資する方法です。
これらを組み合わせることで、リスクを時間的・対象的に分散し、より安定的な資産形成を目指せます。
3. 強い味方!NISAとiDeCoを活用しよう
政府が用意した個人の資産形成を応援する制度、それがNISAとiDeCoです。
NISA(少額投資非課税制度)
NISA口座で購入した株式や投資信託などの利益(配当金や売却益)が非課税になる制度です。2024年から新NISAが始まり、年間投資枠が拡大し、非課税保有期間も無期限化されるなど、より使いやすくなりました。
- つみたて投資枠:年間120万円まで。長期の積立・分散投資に適した商品が対象。
- 成長投資枠:年間240万円まで。個別株など幅広い商品に投資可能。
これらは併用可能で、生涯の非課税保有限度額は1,800万円です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
個人が任意で加入し、掛金を拠出して運用し、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。最大のメリットは手厚い税制優遇で、掛金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時も控除があります。ただし、原則60歳まで資金を引き出せない点に注意が必要です。
表2: NISAとiDeCoの主な特徴比較
特徴 | 新NISA | iDeCo |
---|---|---|
主な目的 | 家計の安定的な資産形成 | 老後資金準備 |
資産の引出 | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
掛金の税制優遇 | なし | 全額所得控除 |
運用益の税制優遇 | 非課税 | 非課税 |
受取時の税制優遇 | なし (運用益は既に非課税) | 公的年金等控除/退職所得控除 |
年間投資上限 | つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円、合計最大360万円 | 加入区分により異なる(例:企業年金のない会社員は年27.6万円) |
NISAは柔軟性が高く、iDeCoは老後資金準備に特化し税制優遇が大きいのが特徴です。ライフプランに合わせて選びましょう。
まとめ:未来の自分のために、今日からできること【私の資産形成の理由】
超低金利、物価上昇、将来の社会保障への懸念など、私たちを取り巻く経済環境は、「自分のお金は自分で守り育てる」という主体的な姿勢を求めています。
資産形成は、将来の安心感を得て夢を実現するため、そしてインフレから資産価値を守るために不可欠です。政府の後押しもあり、NISAやiDeCoを活用すれば、初心者でも少額から有利に投資を始められます。
私が資産形成を始めた個人的な理由
私自身が資産形成を意識し始めたのには、以下のような理由があります。
- 老後への備え:「老後2000万円問題」などをニュースで目にするたび、年金だけに頼るのではなく、自助努力で備える必要性を強く感じています。
- インフレ対策:最近の急激なインフレを目の当たりにし、現金だけでなく株式などの他の資産に分散して、自分で物価高対策をする必要があると感じたからです。
- 収入源の分散:仕事からの労働収入への依存を減らし、高配当株投資などで収入源を分散させ、将来のリスクを低減させたいと考えています。
- キャッシュフローの増加:資産からのキャッシュフローを増やして、趣味である国内旅行など、人生を楽しむためのお金に使いたいという思いもあります。
最初の一歩を踏み出そう
最も大切なのは、最初の一歩を踏み出すことです。難しく考えずに、まずは少額から始めてみましょう。家計を見直す、NISAやiDeCoの口座開設について調べるなど、今日からできることは必ずあります。その小さな一歩が、未来のあなたをきっと豊かにしてくれるはずです。
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