【資産形成の第一歩】年代別の平均貯蓄額はいくら?中央値で知る同世代のリアル
「周りの人はどれくらい貯金しているんだろう?」「自分の貯蓄額は平均と比べて多い?少ない?」
多くの人が一度は抱くこの疑問。将来のために貯蓄は大切だと分かっていても、目標額の設定や自分の現在地を客観的に把握するのは難しいものです。
この記事では、金融広報中央委員会(現:金融経済教育推進機構 J-FLEC)が実施した2023年の「家計の金融行動に関する世論調査」のデータをもとに、気になる年代別・世帯別の貯蓄額を徹底解説します。
この記事を読めば、あなたの貯蓄状況を客観的に把握できるだけでなく、将来に向けた資産形成の具体的なヒントが見つかるはずです。
この記事の目次
「平均値」と「中央値」の違いが重要!リアルな貯蓄額とは?
まず押さえておきたいのが、「平均値」と「中央値」の違いです。
- 平均値: 全員の貯蓄額を合計し、人数で割った値。一部の富裕層が金額を大きく引き上げるため、実感より高くなる傾向があります。
- 中央値: 貯蓄額を少ない順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる値。より「普通」の感覚に近い、実態を表す数字と言えます。
2023年の調査では、金融資産を保有していない世帯を含めた全体の状況は以下のようになっています。
- 二人以上世帯: 平均値 1,307万円、中央値 330万円
- 単身世帯: 平均値 941万円、中央値 100万円
平均値と中央値に大きな差があることが分かります。これは、貯蓄を多く持つ一部の世帯が平均値を引き上げている「貯蓄の二極化」が進んでいることを示唆しています。
【二人以上世帯】年代別の平均貯蓄額と中央値
それでは、ライフステージごとの特徴が見えやすい「二人以上世帯」の年代別データを見ていきましょう。
年代 | 平均貯蓄額(万円) | 中央値(万円) |
---|---|---|
20歳代 | 249 | 30 |
30歳代 | 601 | 150 |
40歳代 | 889 | 220 |
50歳代 | 1,147 | 300 |
60歳代 | 2,026 | 700 |
70歳代 | 1,757 | 700 |
データソース: 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2023年)より(株)Money&You作成
年代別の特徴と考察
- 20代: 社会人になりたての時期で、貯蓄額は最も低い水準です。
- 30代・40代: 住宅ローンや子どもの教育費といった大きな支出が重なる時期です。
- 50代: 子育てが一段落し、老後資金形成の「ラストチャンス」とも言える重要な時期です。
- 60代・70代: 60代では退職金などにより平均貯蓄額がピークを迎えますが、70代になると貯蓄を取り崩して生活する世帯が増えるため、平均値は減少傾向に転じます。
【単身世帯】年代別の平均貯蓄額と中央値
次に、ライフスタイルが多様な「単身世帯」のデータを見てみましょう。
年代 | 平均貯蓄額(万円) | 中央値(万円) |
---|---|---|
20歳代 | 121 | 9 |
30歳代 | 594 | 100 |
40歳代 | 559 | 47 |
50歳代 | 1,391 | 80 |
60歳代 | 1,468 | 210 |
70歳代 | 1,529 | 500 |
データソース: 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2023年)より(株)Money&You作成
年代別の特徴と考察
単身世帯は二人以上世帯に比べて、全体的に中央値が低い傾向にあります。特に注目すべきは40代で、平均値559万円に対し、中央値はわずか47万円と極端に低くなっています。これは、非正規雇用などで安定した収入を得られず、十分な貯蓄ができていない層が存在することを示唆している可能性があります。
なぜ貯蓄に差がつくのか?資産形成を左右する3つのポイント
- 金融資産の構成: 依然として「預貯金」が資産の中心ですが、近年は「有価証券」の割合が大幅に増加しています。低金利と物価上昇を背景に、積極的に投資を取り入れる世帯が増えていることが資産額の差につながっていると考えられます。
- 収入と支出の管理: 資産が増加した理由として「定例的な収入の増加」が、減少した理由として「定例的な収入の減少による取り崩し」がそれぞれ最も多く挙げられています。収入を増やす努力と同時に、支出を管理することが基本となります。
- ライフイベントへの備え: 30代・40代で割合が高くなる「住宅ローン」は、家計における大きな負債です。貯蓄額だけでなく、負債も考慮した家計の健全性を考える視点が重要です。
まとめ:平均に惑わされず、自分のライフプランに合った資産形成を
今回は2023年のデータをもとに、年代別・世帯別の貯蓄額をご紹介しました。平均値だけでなく、より実態に近い中央値を参考に、ご自身の立ち位置を確認することが重要です。
周りの人と比べて一喜一憂するのではなく、ご自身のライフプランを見据え、計画的に資産形成を進めることが何よりも大切です。この記事が、その一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
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